成果主義とメンタルヘルス
【読者レビュー】
今日の我が国の見過ごせない職場環境の現実として、自殺予備軍となる可能性がある長時間労働者や休職者に対する産業医による面談が近年増えている。
産業医や社内カウンセラーに相談できる体制が整っている大企業でも、気軽に相談できない暗黙の社内雰囲気が多くの企業に未だ存在するのも事実であり、満足な体制が整備されていない中小企業の現状も含め、表面化しない多くの事例を数えれば、職場の自殺やメンタルヘルスの問題は相当根深い深刻な問題である。
また、余り表面化はしていないが、現在最も収益を上げている日本のある自動車産業城下町の30代〜50代の働き盛りの自殺者の数の多さが物語るように、日本の職場における自殺やメンタルヘルスの現状は、我が国の経済的繁栄とは裏腹の暗部である。
本書では、過労による自殺に関する様々な考察が、研究データだけではなく、具体的事例や現場の生の声を、丁寧に記述している。また、オッズ比やポピュレーションストラテジーに関する重要な疫学の概念を、一般の読者にも解りやすい表現で解説している。
先ごろの現役閣僚大臣の事件も含め、職場における自殺やメンタルヘルスの問題は今日の日本の暗部であり、ヘビーなテーマではあるが、我々は真摯に受け止め打開策を考えなければならない現実である。
本書は、それらを一般の読者でも学術的に解りやすく理解するための良書であると思われる。
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